DMBook 1−顧客満足 あくまでも顧客中心のアプローチ


マックによるデータベース・マーケティング
菅野和彦著 1994年・光栄刊より


ポイント1:顧客満足 あくまでも顧客中心のアプローチ

あなたのお客様は誰ですか?


この質問に対する答えは、「佐藤さんと鈴木さんと田中さんと...」と名前で答えるだけではありません。「××会社と××商事と××出版と...」と会社名で答える場合もあります。「20代のOL」「マックを使っているデザイナーで東京近郊に住んでいる人」「ここを通りかかる人」「とにかく安いマックを探している人」「多少高くてもしっかりとしたサポートを期待している人」...
簡単な質問ですが正確に答えるのはなかなかむずかしい質問です。お客様をどのように分類し、どのような名前を付けるのか。ここからすべてが始まります。

お客様に名前を付ける

お客様を分類する基準は無数にあります。「あなたのお客様は誰ですか?」という質問に正確に答えるために、どんな分類基準を用いれば良いのかを知っているのが優れた知恵のあるマーケターです。
お客様に関する知識と商品に関する知識との関連づけが的確であればあるほど名前も的確になります。お客様に付けた名前が的確であればあるほど、自分の市場が質的に向上していくことになります。自分の市場とは、自分で名前を付けて、その名前を作り上げてきた市場のことなのです。

信頼関係の創造と発展のプロセス
【潜在客・見込客・購買客・優良客】


どんなビジネスにおいてもお客様に仕えることはスタートでありゴールです。新しいお客様を開拓して信頼関係を始め、一度関係をもったお客様との信頼関係をさらに発展させていくことがマーケティングの役割です。
ですから、誰が自分の商品・サービスのお客様なのかをより具体的に知ることは最も重要なポイントとなります。誰と関係を持ちたいのかがはっきりしなければ、それを創造し発展させることは不可能です。
いまどのような関係にあるのかを把握するために、お客様との関係を基準にして大きく分けて4つに分類することができます。それは、潜在客、見込客、購買客、優良客です。



潜在客

潜在客はさらにふたつに分類できます。

ひとつの分類は、売り手がまだ名前を把握していないお客様です。
売り手の商品・サービスを必要としているが、まだその商品を知らない人。あるいは、売り手の提供しているものは知っているが、売り手には何の反応もしていない人です。このような潜在客には、雑誌広告や新聞折り込みなどで問い合わせをうながし、「私があなたの製品の見込客です!」と手を上げてもらわなければなりません。直接注文によって関係が始まることもあります。小売店舗販売は、店を構えていること自体が広告です。いずれにしろ問い合わせ、あるいは注文という反応がお客様側からなければ、その関係ははじまりません。

もうひとつの分類は、売り手が名前を知っているお客様です。
いろいろな名簿は名前のある潜在客として取り扱うことができます。名簿は必ず何かの分類がされたもので、意味のない名簿はありません。電話番号簿でさえ地域がわかるようになっていますし、職業別ならなおさらはっきりしています。
もし、自分が選んだマーケットに近い名簿が手に入るなら役に立つでしょう。しかし、名簿に名前を掲載している理由は、ダイレクト・メールが欲しいからではありませんので、十分に注意して名簿を使う必要があります。いくらその商品を必要としているはずの人たちの名前と住所が入手できたとしても、送ったメールに対して、かえって警戒されることもしばしばです。「今回は、××にお住まいの方に...」など、使用した名簿が受け手にわかるような文面だと安心します。
こちらは相手を一方的に知っているけれど、相手はこちらを知らないという人とどのように接触を持つのかというのが、この名前のある潜在客への対応の基準です。

潜在客とは、まだ、売り手も買い手も認知していないか、片側からしか認知されていない状態です。なんとかして反応をもらって双方向の関係を始めたいのです。

見込客

広告を見て問い合わせしてきた人。展示会に来て名刺を交換した人など、売り手に問い合わせをしてきた人を見込客と呼びます。見込客は、売り手も買い手も互いに認知している関係です。この段階から自社のお客様データベースに登録されていきます。
双方向ですからコミュニケーション手段も変わってきます。手紙や電話、営業マンの訪問など個人的な対応が喜ばれます。ひとりでも多くの見込客に購買客になっていただくためには、何をすればよいのでしょう。
この段階で特に重要なのは質の高い正確な情報です。また、迅速な対応も同様に重要です。買うかどうかを決めるために必要な情報をタイムリーに提供するならば、信頼関係は高まります。強制的なやりかたはきらわれます。「私が見込客です。」と自分から手を上げていただかなければなりません。
もちろん、信頼してもらえば、かならず買っていただけるとは限りません。正確な情報によって、その商品・サービスを今は必要ないということが明らかになるときもあります。

購買客

購買客はいわゆるお客様です。最終的に買っていただいた方とは、本格的な関係がはじまります。購入理由がいかなるものであれ、お客様に信頼していただいたことになります。
しかし、ここが最終到達点ではありません。購入した商品・サービスが良いかどうかはもちろんのこと、それまで受けた情報が正確であったかどうかが試されます。商品が悪い場合や、情報が不正確または不十分であった場合は、返品されることもあります。
質の高い商品、質の高い情報を提供することによって、少しでも多くの購買客に優良客になっていただきたいのです。

優良客

優良客は、絶対に名前を忘れてはならないお客様です。顔を覚えていなければ失格です。お得意様とも呼ばれます。優良客であることの基準は、商品・サービスの購入金額、購入時期、購入頻度などによって判断されます。
しかし、ここも最終到達点ではありません。お客様との信頼関係には終わりがないのです。常にこの関係を維持し発展させていかなければなりません。


Copyright 1997 kanno@kanno.com Updated 1997.03.24
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