「マックによるデータベース・マーケティング」
菅野和彦著 1994年・光栄刊より
ポイント2:システム より人間的なコミュニケーション
どのようにコミュニケーションしますか?
強制的に信頼関係を作ることはできません。お客様との関係がどのような状態にあるのかによって、アプローチの方法を変えて、無理なく関係を発展させていかなければなりません。急に関係が深まることもありますし、最初に買っていただくまでに何年もかかることもあります。チャンスを待つ忍耐とチャンスを逃さない注意深さとが必要です。
情報伝達のキーマン
信頼関係は、良いコミュニケーションの上に成り立ちます。信頼関係が一方的なものではないように、コミュニケーションも一方的なものではありません。
双方向のコミュニケーションのキーマンは営業マンです。営業マンの役割は「売る」ことですが、それを達成するためにふたつの立場をもっています。ひとつは会社の代表としての立場、もうひとつはお客様の代表としての立場です。売り手と買い手の双方を代表しています。
お客様から見れば、営業マンは会社の代表です。その営業マンを通してその会社を評価します。その営業マンを通して商品知識を得ます。
一方、同じ営業マンは会社に戻ると、お客様の代表となります。今度は、会社にお客様の情報を与える責任があるのです。経営者には、お客様は誰で何に満足してくださっているのか、何に不満を持っているのかを伝達し、生産部門には、商品としてどこが気に入ってくださっているのか、どこが気に入らないのかを伝達する責任があります。
正確で質の高い情報を伝達するのが営業マンの最も大切な役割だといえます。コミュニケーションがスムーズにいって始めて良いセールスができるのです。
また、権限が担当者に委譲されていないとパーソナルな対応はできません。同時に権限を委譲すれば、どうしても詳細の情報は上には返ってこなくなります。データベース・マーケティングとマネジメント・システムが切っても切り離せない関係にあるのはこのためです。
あらゆるコミュニケーション手段を駆使する
しかし、良い営業マンは少ないし、お金がかかります。もっと安いコミュニケーション手段を有効に活用する必要があります。そうすれば、より人間的な必要度が高い仕事に営業マンは時間を割くことができます。
それぞれのメディアには長所と短所があります。情報を送る方法と情報を収集する方法を区別して考えてください。
表
どのメディアを選ぶのかは、あくまでもお客様中心であることが判断基準になります。相手が忙しいのに訪問や電話でむやみに邪魔をすれば嫌われますし、相手が欲しいと思っているときに訪問や電話を頻繁にしなければビジネス・チャンスを失ってしまいます。お客様は勝手です。